別れと後悔
「理由を言いなさいよ!そんなに私が嫌なの!?さめたの!?」
「そうじゃないけど、今は1人にしてくれないか?今は1人の時間が必要なんだ」
「嘘つき!本当は浮気してるんでしょ!」
「そんなことするわけないだろ!」
僕らは思い出のベンチに座りながら大げんかしていた。
そのベンチの前には少し斜めに生えているイチョウの木がある。
それを僕らはピサのイチョウと呼んでいた。
口論しながらも僕は楽しかった思い出に入り浸っていた。
僕は百合香が好きだ。愛してる。けど、今はそんな思いを抱くほど僕には余裕がないんだ。
百合香は泣いていた。
泣いている百合香を可哀想だと思い抱きしめてしまった。
そしていい加減な優しさを言い放つ。
「今でも好きなんだ。百合香のことが好きだ。泣かないで笑っていてよ。幸せでいてよ。」
僕は涙を必死にこらえていた。
(ここで泣いたら百合香にバレる。頑張れ俺。)